『佐藤 健』にハマってみた。

佐藤健ファン活備忘録

『億男』

 

映画『億男良かった!

 

図書館に原作本のリクエストを入れたら

思いがけず早く手元に来たので

先にオリジナルストーリーを“予習”してから

という、これまでにないパターン。

 

かの川村元気氏の著作である。

本屋大賞にも入賞したと聞く。

期待に胸を大きく膨らませて読んだ。

 

 

ところが、である。

 

申し訳ないけど超絶つまらない。

「何じゃ?これ!」の連続。

 

おっしゃりたいことは分かるんだけど

全く共感できない。

あり得なくて、ウンザリして

途中何度も投げ出しそうになった。

 

たけ活の一環だから頑張ったけどね。

読み通すのは

正直辛かった。

 

 

ということで

テンション超マイナス状態から観賞スタート。

 

ところが、映画の方は

健くんのしょぼくれた借金男も

髙橋一生さんのメンヘラ億万長者も

キャラの濃い関係者それぞれも

相当良い味出し、人物像に深みもあって

十分面白い。

 

何より、原作で描ききれていなかった

微妙な心理描写・辻褄の合わない部分・

飛躍する話のすき間等々が

上手く補われて流れが良い。

あんなにムリ目な展開が

理解の範疇にちゃんと収められている。

 

当初、原作にないアキラ(池田エライザさん)は

てっきりバーターが何かでねじ込まれただけの

余計な設定かと思ったけれど

実は話を繋ぐのに必要な登場人物だった。

 

落語『芝浜』の伏線回収ぶりも見事だし

ロッコのエピ・映像の織り込み方も効果的だし

原作の「フツーその程度でここまでこじれるか?」

という奥さんとの仲も、今後に含みを持たせ

救いのある終わり方だったし…

 

とにかく、原作を踏襲してはいるけど

原作よりずっと良い。

 

 

健くんに言及すれば

九十九とかつて培った友情・信頼が

空白の時を経てもまだ色あせておらず

3億円を突然失って動揺はしていても

「彼を見つけ出しさえすればお金が戻ってくる」

と愚直に信じている、それを前提に

「では、なぜ彼が持ち去ったか?」を探るべく

ひたすら彷徨う男を巧く演じていた。

 

原作の納得いかない点:

「大金持ち逃げされたら、即警察だろうが!」

「3億円入ったら、とりま借金返そうよw」

が、心情的に解決するのは大きい。

それでこそ話に入り込め、主人公に共感できる。

 

そして、一男は一男だった。

例によって健くんは、これまで演じた

どの作品のキャラとも違う人物になり切っていた。

 

 

 

この映画、調べたら

興行的にはかなり厳しかったらしい。

観た人の口コミも散々なものが多かった。

 

 その悪評は、宣伝文句に

「あの『るろうに剣心』の大友監督と佐藤健

 再びタッグを組む!」とあって

事前のハードルが爆上がりしていたことが

原因の一つじゃないかと思う。

るろ剣』クォリティを求めたら、確かにそうなるわ。

 

でも私が思うに

そもそもの話がアレなので。

BIG NAMEの書いたものだからとて

全てが傑作とは限らないのだ。

 

逆に「あんっなにつまらない話を

よくこのレベルまで引っ張り上げたものよ」

と感心した。

 

佐藤健も大友啓史監督も

ここでもまた良いオシゴトしていました。